前回で、「発達障害は先天的・遺伝的な脳の特性によるもので、克服や改善は不可能」と言う従来の主張は大脳生理学から見ると間違っており、改善や克服は可能であり、実際メンタル・ビジョントレーニングを受けている子ども達が日々確実にその成果を挙げ、問題や不安を改善し、新たな成長を挙げていることを述べました。では何故そうしたことが可能なのでしょうか?
「大脳生理学」によれば遺伝因子には「DNA遺伝子」と「RNA遺伝子」の2種類の遺伝子があることが分ります。体型・顔かたち・血液型・皮膚の色・髪の毛など身体に関わる遺伝情報(ゲノム)は、受精と同時に先天的に親から子に引き継がれ、子どものDNA遺伝子に書き込み(プリントイン)され、それが生後徐々に両親と似た”体つき”に現れ、「この子は父親似だ」とか「母親そっくり」などと言われるようになります。
一方性格・才能・知能・母国語・運動能力などは、胎児期の羊水の環境を手始めに、生後の生活環境からの刺激や情報等を「空白の遺伝子」と言われるRNA遺伝子に後天的に刷り込み(プリントイン)されていき、両親とは異なった知能・才能・性格・運動能力などを身に付けていきます。
こうしたことから推論すれば、「発達障害は生まれつきのもの、遺伝的なもの」とするなら、大脳生理学上「両親のいずれかにも発達障害的な遺伝情報(ゲノム)があって、その遺伝情報が子どもに引き継がれ、子どもにも発達障害の症状が現れてきた。」ことになります。
しかし、現実には両親に発達上の問題がなくても子どもに障害が生じており、親子2代・3代にわたって障害が生じたなどの例はほとんど聞いたことがありません。そうしたことからも「障害は先天的・生まれつきの脳の特性によるもので、その障害を克服することは困難」との指摘は大脳生理学上矛盾したことになり、成り立たない主張になります。では障害・発達不安はどのように生じてしまうのかについて次回で見ていきます。